4、各説の欠点と評価

 

高柳光壽氏の野望説(1962年)
桑田忠親氏の怨恨説(1973年)
立花京子氏の朝廷黒幕(謀議)説(1994年)
藤田達生氏の足利義昭黒幕説(1996年)
小和田哲男氏の信長の悪逆非道防止説(1998年)
桐野作人氏の四国問題対立説(2001年)

 

F〜I各黒幕説、非犯人説など

 これらについては史料的吟味が薄く、根拠というものが少ないので事実とは思えないのである。この類ははじめのうちは史料に基づいているように見せかけているが、気がつくと推論にはいっていて暴走を始めている。しかし我々は事実であるような錯覚をするのである。この類は要注意である。しかし、@〜Eを考えるヒントになる部分もあるので、記してみたのである。

 以上が今有力だと言われている説の吟味である。どれも批判が多かったように思う。批判ばかりしていて「じゃあ、どれなんだ!?」と聞かれると、情けないことに答えられないのである。何故ならどれも今一歩決め手に欠けるからである。どうがんばってみても、批判に耐えられそうにないのである。だからこれが正しい、というような見解は出せない。ただこれらの批判と後の章などを見てくだされば、本能寺の変がどういうものなのか、読者の皆さんにわかっていただけると思う。その上で本能寺の変の原因というものを読者の皆さんに考えて頂ければ、少しは真相が明らかになるだろうと思う。

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