故事成語6

晏子の御

 

【意味】
主人など他人の権威・威光などに寄りかかって得意になること。また、そのような人。「晏子の御者(ぎょしゃ)」「晏御揚々(あんぎょようよう)」ともいう。
【類句】
虎の威を借る狐、笠に着る
【由来】
 前記の晏嬰は、父の死後喪に服した時、亡父を偲ぶため小屋と呼べぬほど粗末な小屋をつくり、そのなかで粥のみをすすり、苫(とま)に寝て、草を枕にして、服喪の期間である25ヶ月間を過ごしたという。

 そんな晏嬰の御者(ぎょしゃ)(古代、中華の貴族は馬車に乗っていた。御者はその馬を走らせる人)が、誇らしげに馬車を走らせているのをその妻が見て、急に離婚を申し出た。その御者は驚き、訳を聞くと、「晏子(晏嬰の尊称)は身長が6尺に満たないのにその名は中華に聞こえている。だがいつもへりくだっている。それに対してあなたは身長が8尺あるにもかかわらず御者にすぎず、それなのに誇らしげにしていたから。」と言われ、大いに反省し、その後へりくだるようになったという。

 主人の権威に寄りかかり得意になることを「晏子の御」というのは、このような理由からである。この故事からは、晏嬰の身長の低さも伺うことができる。このころの一尺は約22.5センチであるから、その6倍の135センチに晏嬰の身長は及ばなかったことになる。

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