8、歴史物語 「今鏡」について

 

「今鏡」は、「大鏡」、「水鏡」、「増鏡」とともに、「四鏡」と呼ばれる中のひとつです。「大鏡」は、藤原道綱母の作品、そして「四鏡」の中で、文芸的にも価値あるものとされているのは、この「大鏡」と「増鏡」とされています。
「今鏡」について説明します。この作品名は今の時点までの歴史を語るというところから命名されました。「今鏡」は、後一条天皇の1025年から、高倉天皇の1170年までの146年間のことを10巻にまとめたものです。
これより以前に作られた「大鏡」の組織や体裁を継承していて、また、各巻それぞれに優美な巻名が付けられていることなどから見ると、「源氏物語」など、他の有名な文学作品の影響を受けているようです。この物語の成立は、1180年から1184年ごろと推定されていて、作者には、藤原為経説が有力です。

 

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