6、短編物語集 「堤中納言物語」について

 

この物語は、いろいろな人の書いた物語を集めたもので、その中のひとりは、小式部という女房であることが分かっており、この物語は、日本最古の短編物語集として著名です。
長編の場合は、主人公についての細やかな設定から始まり、連続的な生活を語っていく面が強いようだったが、短編の場合は、主人公の紹介はなく、物語の始まりとともに人物が行動を開始し、話の展開がスムーズに進んでいきます。現代の短編集に似ていて、意表をつく滑稽さや風刺が見られるようです。鋭く人性や生活の断面を切り取っているところが、とてもこの作品の新鮮さを感じさせます。
十編の短編物語集からなるこの作品は、平安後期ごろの作品であると見られていて、その十編は、ほぼ四季の順序に従って配列されているようです。

 

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