4、歌人 源順について

 

源順はいくつかの小説の作者であるといわれています。確証はありませんが,先ほど説明した「竹取物語」の他に、平安時代の伝奇物語の代表作、「宇津保物語」、「落窪物語」をも書いたというのです。
源順という人は今まであまり認められていませんが、考えてみると日本の生んだ大変な天才といえるのです。源順は貴族ですが,位としては中くらいでした。長い間宮仕えをしても、位は上がらない、お金もたいしてない,といった生活をしていました。
ところで,百人一首にもその句が読まれている曾ねの好忠、その曾ねの好忠と源順は親しかったそうです。お互いに同じくらいうだつの上がらない官吏だったそうですが,源順は、「後撰集」の編者までつとめているので,曾ねの好忠よりずっと歌人として公に認められていたようです。
源順はさっき言ったこと以外にも、辞書を若くして作り、なおかつ、言葉遊びの歌を作らせたらこの人ほど凄い才能のあった人はいなかったといいます。詩人としても凄かったのですね。ちなみに彼が書いたといわれている「宇津保物語」は,全20巻からなり,わが国最初の長編物語として知られています。そして「落窪物語」は,大短編小説集、その内容は、継母の意地悪な物語で、継子いじめの物語です。

 

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