故事成語4

鳴かず飛ばず

 

【意味】
将来の活躍に備えて何もしないでじっと機会が来るのを待っていること。「三年、鳴かず飛ばず」という言い方もする。
【由来】
 これまた春秋時代、楚(そ)の荘王(楚の君主は「王」を自称していた、以後王を自称する国は増える)は父が死んだので3年間の喪に服すことにした。しかし、実際は、自分を諫めた者は死刑に処すと告げ、家臣たちの口を封じ、毎日のように宴会を開き続け、遊びに遊んでいた。

 そのとき、伍挙(ごきょ)という家臣が荘王に「謎かけをしましょう」と申し出た。まともに諫めると殺されてしまうからである。「山の上に鳥がいます。この鳥は3年たっても鳴きもせず飛びもしません。この鳥は何でしょうか。」と伍挙は言った。もちろんその鳥とは荘王のことである。すると荘王は、「その鳥はもし鳴けば大いに人を驚かし、もし飛べば天にもとどくであろう。わしにはわかっている。」と言った。

 まもなく荘王は宴会をやめ、遊んでいるふりをしている間に見極めていた、王を見くびり私腹を肥やしていた佞臣(ねいしん)を処刑し、伍挙などの賢臣、忠臣を昇格させた。それぞれの数は数百にのぼったという。さらに荘王は国政にも専念し、みるみる国力を充実させ、荘王の盛名はますます高まった。将来に備えてじっと機会を待つことを「鳴かず飛ばず」というが、もとは「鳴けば人を驚かし、飛べば天にもとどく鳥が鳴きもしないし飛びもしない」つまり、自身に能力がありながらも、といった意味も含まれていた。

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