7、兵家

 

 春秋時代に活躍した孫武によって書かれた『孫子』は、われわれが手にできる中国の兵書のうちで最も古く、優れた兵書であるとされている。こうした戦乱の世の中で彼は武力による勝利万能主義を否定し、平和的手段による戦争の回避を望んだ。これが彼の考え方の優れた点でもある。
 また『墨子(ぼくし)』を著わした墨?(ぼくてき)は兼愛非攻の精神を唱え、完璧な防衛から生まれる和平の実現を目指した。これらは特筆されるべき考え方であろう。
 とにかく、春秋・戦国時代は個人の采配だけで国家が動く戦乱の時代であり、兵家達も諸子百家のご多分にもれず仕えるべき君主を求めて列国を遊説した。富国強兵の時代としては当然の流れであった。