2、孟子・性善説

 

 孟子は孔子の「仁」に加えて「義」を力説し、仁愛と正しい上下関係こそが社会の秩序維持に必要である、と主張した。のちに彼の著書である「孟子」は四書の一つに数えられる儒教の経典となった。
 孟子は仁義礼智といったものは先天的に人に備わっており、学ばなければできないというものではない、と主張した。また人間の心は本来純真で偽りのないものであり、しかし人の心はえてして物欲を求めるものであるから、寡欲(欲を少なくすること)であることが必要であるとした。これが性善説である。  孟子が生きた戦国時代は道義が非常に退廃していて、そうした時代にあって「義」、すなわち人倫の必要性を強く説いたのである。